先日、母のコレステロール値が安定したので「クレストール」の処方がなくなった。
またひとつ、健康になった。
体は健康なのだしお金もあるし、本来なら母は、穏やかな老後を過ごしているはずだ。
パート先に、年配の常連さんがよくくる。
夫婦だったり、友達同士だったり。
母とそんなに変わらない歳の方たちだ。
母も認知症になりさえしなければ、こうして毎日を穏やかに過ごせていたのだろうなぁ。
最近、母の中から、また一人家族が消えた。
母に会いにいく時は、会話の中に何度も家族の名前を出す。
「○○さんは元気にしてるかなぁ」「この間☓☓さんと会ったよ」
一人ひとり確認するように。消えかかっている記憶を繋ぎ止めるように。
もう私たち子どもの名前はとっくに消えている。名前を出しても首をかしげる。
私は母に何度も名前をきかれる。
せめて知り合いでいたいから、何度でも名前を伝える。
最近消えてしまったのは母の姉の名前だ。
母は姉のことが大好きで、姉の話をするととても嬉しそうだった。
だから私も、何度も母の姉の名前を出していた。
母と母の姉は、姉妹で名前が似ている。
某アニメでいえば「レム」と「ラム」のように。
母に姉の存在を思い出してほしくて、姉の話をすると、母は自分の名前を間違えられたと思い機嫌が悪くなる。
困ってしまった。
母の中から、ひとりずつ家族が消えていく。
悲しいけれど、その分『知り合い』を増やしていけばいい。
そういえば、一時、母に会いにいってもリアクションが『初対面』になってしまっていて、てっきり私は母に顔を忘れられてしまったと思っていたが、それはマスクのせいだった。
冬はインフルエンザと感染症の予防で、マスク着用が義務付けられている。
インフルエンザの季節が終わったあともしばらく、私は花粉症でマスクをしていた。
花粉症が終わり、久々にマスクなしで母に会ったら、以前のように「よく来てくれたねえ!」と嬉しそうに笑顔で迎えてくれるようになった。
ほっ♪