くみた柑のオキラクニッキ

時々オキラク、時々マジメ。基本オキラクだけど、人生ってきっと厳しい。

文豪作品は難しいという思い込み

先日、自著に「『こころ』のKと重なった」という感想をいただき、Kという人物が気になった私は、これをきっかけに夏目漱石の『こころ』を読みました。

 

待って!言いたいことはわかる!
小説なんて書いてるくせにね!
ごめんね、まだちゃんと読んだことがなかったの!

そもそも私は、こういった文豪作品は「難しいもの」っていう固定観念があって、苦手意識が強かったのです。
それはなぜかというと、小学校だか中学校だかの読書感想文まで遡るんですよ。

私は小さい頃から近くにある児童館の図書館にけっこう入り浸っていて、本を読むのは大好きだったのですが、それはイソップ童話とかグリム童話とか日本昔話みたいなさらさらっと簡単に読めて楽しめるような、そんなものばかりを好んで読んでいました。

両親は全然本など読まない人だったので、むろん家に本棚などなく、後に姉と兄が小説(今で言うラノベ)を買うようになるまでは、前述した図書館と、家に数冊ある絵本を繰り返し読むような環境でした。

そんな感じで難しい本を読む環境にはなかったのですが、国語の成績はよくて(他の教科が悪いとも言う)、作文も苦手意識はなくどちらかといえば得意な方でしたが、読書感想文!これだけは苦手で、何が苦手かっていうとまず、課題図書を読むのが苦痛でした。

たいてい、難しい本が選書されていて、自分が読みたいと思える本はありませんでした。でも読まないと感想文は書けないので仕方なく読みます。でも読みたい本ではないので内容があまり頭に入ってこず感想文も書きにくくて、恐らくそこで「文学は難しいもの」とインプットされてしまったんだと思います。
今でも難しい本は苦手なんですけどね(爆)

なので、「夏目漱石」と聞いただけで「難しそう!」となり、読む気が全く起きなかったのです。昔の人が書いた本であるというだけで読みにくそうという勝手なイメージを持っていました。

夏目漱石は国語の授業の題材などにも使われることがあるし『こころ』もきっと過去に勉強したかもしれないのですが、すみません、まったく記憶にございません!

ということで、まっさらな気持ちで『こころ』を読みました。

もっと難しくてとっつきにくいかと思いきや、意外とスラスラ読めてしまいます!
さすが夏目漱石
しかも表現が美しい。なるほど、さすがだなぁ~なんて思いつつ読み進め、「お?この展開は……こんな昔からBL作品があったのか!?」なんてちょっとミステリアスな先生のことが気になりつつ読み進めていくうちに……

あれ……なんか展開が……

えっと、ここから少しネタバレ入りますが、きっともう皆さんは御存知ですよね。

先生の手紙が延々と……
え……やば……

あまりに胸糞悪い展開に、どうしていいかわからなくなりました。
先生のエゴイズムがやばい。

勝手に「いい話だなー」って感じのお話なんだろうなって想像してたので、思ったんとちゃう!ってくらいに打ちのめされちゃいました。
Kと奥さんがあまりに不憫で……

そんな手紙、自分を慕ってた人に託すなよぉ……

再読したらもっと深く理解できるのでしょうけど、再読はしたくないかな……という感想です。

さすが文豪というだけあって心理描写や文体は素晴らしいと思うのですが、私はやっぱり今の時代の作家先生の作品の方が読みやすく、自分に合っているなと思いました。本当ならば文豪作品をきちんと読んだ方がいいのでしょうが、読むの遅いし読みたい作家さんも小説もたくさんあるので、この先読むことはないかもしれません……

けれど『こころ』をきっかけに、文豪作品は読みにくい、という謎の誤解は解けました!
めちゃ読みやすかった!(内容は好きになれなかったけども!)
それを知ることができただけでも、『こころ』を読んでよかったなと思いました。